新社会人が5ヶ月で自分含め5人辞めた某家電量販店のはなし②
無事大学卒業を果たし、4月から配属先の家電量販店で働くことに。
内定を取った後、内定を取った人向けに説明会があったのですが、
私と同時期に内定を取った人は、希望勤務地がほとんど関東に希望を出した人が多く、
40人近くいた中で関東以外に勤務希望を出した人は私を含め5人ぐらいでした。
やはり関東のほうが人気が高いのでしょう。
たぶん関東以外に希望勤務地を出した人はほぼ確実に希望が叶うんじゃないかな。
説明会では家電製品を買うときに「4月から働きます」と社員に言うと、
家電製品を値引きしてくれるということを説明していました。
引っ越した後働き始めるまで特にすることもないし、自分の働く場所も気になっていたので勤務先まで偵察に行ってみることにしました。
関東の店舗より規模はしょぼかったのですが、地元の家電製品店よりはるかに品そろえが多かったのに感動したのを覚えています。
ただここで気になる点が。
会う店員会う店員みんなどこか目が死んでいる。
3月は引っ越しシーズンで繁忙期なので疲れがピークだったのはわかりますが、
店員みんなの表情がすさんでいたのが印象的でした。
私も欲しい家電製品があったので値引きしてもらうべく、レジにいた一番若そうな
お姉さんに「新入社員が物を買うときに値引きをしてもらえると聞いたんですが」と
伝えたところ、「チッ、こいつ忙しい時に余計なこと言いやがって」とでも言いたげな表情をして無愛想に値引きの手続きをしてもらいました。
別にこちらとしても「内定おめでとう、これからよろしくね!」みたいなのを
期待していたわけではないのですが、ここまで邪険にされるとは思っていませんでした。
「うわぁこうはなりたくねーな、ここの部署ではたらくことにならなきゃいいな」
とかその時は思ったんですが、残念ながら後にここに配属されることになりました。
呪われてるってレベルじゃねーぞ本当に。
そんなこんな微妙な出来事があった後普通に入社式が終わり、4月第一週目から新人研修が始まりました。
新人研修は三週間ほどを予定しており、四週目から売り場に配属され各売り場で販売しながら経験を積め、とのことでした。
よって自分がどこに配属されるかは直前になるまで知らされないため、
ちゅうぶらりんな状態が三週間続きました。
正直いきなり売り場に出されて死ぬほど大変な目にあったので、ここいらで始めに
配属先を教えてくれたらあらかじめ自習とかしてたのにな、と思わなくもなかったです。
いや、やっぱしなかったかも。
研修は店長自らが研修をするとのことで、予定がない限りはほば店長が説明を行っていました。いないときは副店長がきたり、各部門のマネージャーが交互に来たりしたので、お偉いさんが入れ替わり立ち代わり来ていましたね。
研修をする際に分厚い冊子が渡され、この冊子は門外不出なためSNSとかに
内容を載せないように、とキツくお達しがありました。
辞める時に会社に返却したので今は手元にないのですが、確かフルカラー印刷で
使っている紙もまあそこそこいい紙を使っていました。
社員にかける金はなくても冊子にかける金はあるんですよ、この会社。
研修内容は主に
・挨拶
・言葉づかい
・会社の物流の仕組み
・レジの扱い方
・梱包の仕方
などほかの会社でもやっていそうな新人研修の内容でした。
ただ接客業との事で挨拶と言葉づかいには時間を割いて練習させられたりしました。
特に練習させられたものの一つが「挨拶」
挨拶も15度、30度、60度の角度でする挨拶があり、これは二人一組になって何度も練習させられた挙句、みんなの前で練習成果を発表させられるという徹底ぶり。
「接客業の基本は挨拶に有り」とのことでそれ自体はまあ正しいと思うのですが、私が働いていたとき一回もお客さんに対して綺麗なお辞儀したことありませんでした。
なんなら私よりもはるかに接客経験の長い先輩社員であっても綺麗なおじぎをしていることは見たことがありませんでした。
たとえそれがあからさまにこちらの不手際であったとしても。
たぶんこのお辞儀をするときは本当にやばいことをやらかしたときに
真価を発揮するのでしょう。
あともう一つ徹底して覚えさせられたのが「社訓」
これに関しては本当に毎日説明会が始まるときと終わるときに復唱させられました。
最初は紙を見て復唱しているだけでよかったのですが、そのうち店長がランダムに
一人を指名し「みんなの前で暗唱しろ」ってなったとき、空気が変わりました。
たぶんみんな社訓なんて覚えさせられんの昭和の時代錯誤な会社だけだろ、とか
内心あざ笑いながら社訓を見ていたと思います。わたしだけかな?
しかし、この社訓の穴埋めの問題を解かせられたり、
半年後の正社員試験に必修ででるぞとか言われたときに、
徐々にみんななんか覚えなきゃやべえぞみたいな空気が出てきたんですが、
この店長の生贄暗唱を提唱した時からみんなの本気度が変わってきました。
最初の犠牲者はまあ初めてだからということで紙を見ても許されたのですが、
三日四日たっても暗唱できない社員にはそのうち店長から嫌味がチクりと飛ぶようになりました。
みんなの前で話すのも向き不向きがあるので、本当は覚えていたのに緊張のため話せなくなったとかもあったと思いますが、なかなかにえぐかったなあと思います。
人前で暗唱させられるの中学校の古典の内容覚えさせられた時以来だぞ。
流石に二週間たつころにはみんな暗唱できていたのですが、毎日誰が生贄に処せられるのかドキドキしました。
そんなこんなで日々の研修を終え、研修の最終日。
この日は自分の配属先の発表と同時に、制服のチェックの日でありました。
服装に関してはこ会社はすごく厳しく、メガネや時計は派手な色は禁止、靴は黒色の靴、といったような指定がされていました。他の家電量販店に勤めた友人聞いてみたところ、そんなことは一切言われなかったみたいです。
おっかしいなあ!!
私は髪を染めろといわれても結局染めないまま出社したので、内心なんか言われるかと身構えていたのですが、実際に指摘されたのは別の箇所でした。
それはなんと靴の色。
先ほど述べたように靴は黒という指定でした。
私が履いていった靴は黒色だったのですが、素材が適していない(素材が適していないってなんだよ!)とのことで代えてこい、という話でした。
このとき思ったことはただひとつ、
「なぜ売り場に出る前日に言った???」
このことにつきます。
研修が終わった時刻は18時過ぎ。
今から靴を買いに行くのもだるい時間です。
それでもまあ平均的な靴のサイズの人は、すぐに靴屋に言ったら時間をかけずに買いにいけるからいいのでしょうが、私は女性のわりにサイズがでっかいのでそうやすやすと靴を手軽に買えないのです。
この社員の気持ち、都合を考えないやり方には温厚な私も怒りを覚えました。
覚えただけでなにも言えなかったんですけども!
私以外の人もズボンのすその長さが合ってないとかで不合格の人いっぱいいましたが、彼らも困っていた顔をしていました。
そらそうだ。
役に立たねえ社訓を覚えさせる前にまず、服装検査をさきにやれ。
これだけは言いたかった。
そしてドキドキの配属発表です。
私はゲーム、おもちゃが大好きだったので
第一志望 ゲーム、おもちゃ
第二志望 その他(旅行鞄とかそんなん)
第三志望 時計
と、なんのために家電量販店に入ったかわからない志望内容で希望を出しました。
ゲーム、おもちゃは人気が高いためなかなかなれないと聞いていたので、
まあ第二、第三あたりになれればいいなあとか思ってました。
思ってました。
蓋を開けてみたらまさかの
家電担当。
希望にすら出していない、家電。
本当にこれは今でも疑問です。配属発表は名前を呼ばれたら立つことになっていたのですが、その時の私の顔は
さぞかしこわばっていたことでしょう。
だって志望に家電なんて書いてなかったのだから!!!!
無理やり家電に配属された理由を捻出するのだったとしたら面接の時に聞かれた掃除機を買ったときのエピソードがよっぽど面接官の心に残ったのでしょう。
確かに「この掃除機を買った時の店員さんになりたい」とはいいました。
でもこれ、6割方社交辞令みたいなもんですからね????
明確な理由はわからないものの、望みもしない家電に配属が決まりました。
この時唯一の希望だったのが一番仲が良い同期も同じ配属になったことですかね。
まあこれもまた不幸の伏線になるんですが。
ちなみに他の同期、第一志望に家電って書いた人がいたみたいでなんでこいつが選ばれなかったんじゃ!!!と怒り狂うことになるんですが、それはまた別の話。
急きょ靴を用意しなければならない怒り、望まない配属先への不安を抱えながら
いよいよ破滅へのカウントダウンが始まるのです。